Pカンパニー第29回公演『京河原町四条上ル近江屋二階 -夢、幕末青年の。』 稽古場訪問&インタビュー|2020都民芸術フェスティバル 公式サイト

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Pカンパニー第29回公演『京河原町四条上ル近江屋二階 -夢、幕末青年の。』 
稽古場訪問&インタビュー

Pカンパニー第29回公演『京河原町四条上ル近江屋二階 -夢、幕末青年の。』

公演情報はコチラ

中岡慎太郎役 林 次樹さんインタビュー

林 次樹(はやし つぐき)


林 次樹さん

俳優、大阪芸術大学舞台芸術学科教授
1960年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。
1981年劇団木山事務所俳優養成所入所 1983年木山事務所所属俳優となる。
木山事務所公演のほとんどに主要キャストとして出演の他、外部公演にも多数出演。2008年Pカンパニー設立 代表となる。

『京河原町四条上ル近江屋二階 -夢、幕末青年の。』のご紹介をお願いします。

チラシ
PDF(1.43MB)

福田善之さんの新作になります。福田さんは現在88歳ですが創作意欲が旺盛で、常に頭の中に書きたいものが複数あるような方です。物語の舞台は幕末で、慶應3年、坂本竜馬と中岡慎太郎が近江屋という醤油屋の2階で何者かの手によって殺される、その1日の話です。そこに回想シーンが加わったり、現代人が登場して物語の進行役を務めたりする形になっています。歴史に名を残す人物が時代を動かしていくなか、名もない民衆はどんなエネルギーでもって激動の時代をとらえ、考えていたのかが、最後に垣間見える終わり方になっています。また、坂本竜馬のような有名な人物を使いつつ、無名の人々が同じ時代をどう生きたのかを伝えることに重きを置いている作品だと思っています。

林さんが演じられる役柄と作品の見どころをお聞かせください。

僕が演じる中岡慎太郎は、福田さんがいちばん言いたいこと、伝えたいことを託している役柄だと思うので、あまり自分で作り上げず、福田さんの言葉をひたすら伝えられればいいのではと考えています。見どころとしては、福田作品がよく「おもちゃ箱をひっくり返したよう」と表現されるように、今回も生バンドが入ったり踊りがあったりにぎやかな場面があるので、楽しんでいただきたいですね。また、個人的にはセリフにも注目してほしいところです。僕は福田さんのセリフが好きで、「言ってみたいなこのセリフ」というものをたくさん書かれるんです。すごく詩的な表現や、日常的な会話とは一線を画するところがあるので、お客様にそのセリフが伝われば、大きな魅力になると思っています。

指導風景

Pカンパニーについてご紹介ください。

前身は木山事務所というところで、10年ほど前、そこに所属していた俳優たちとPカンパニーを立ち上げました。25名前後の小さなチームです。福田さんの作品のほか、有名無名に関わらず「いいな」と思う劇作家に声をかけて書いてもらう、「シリーズ罪と罰」というやや社会性の高い作品を上演しています。

林さんにとって舞台の魅力はなんでしょう。

演劇は1か月、1か月半という期間、毎日同じメンバーで稽古を積み重ね、スタッフとも一緒に色々なことを話し合いながら作り上げていきます。本番に向かって稽古をしているときは「もうこれで辞めようかな」と思うくらいきついときもあるんですが、無事に千秋楽を迎えると「もうちょっとやろうかな」と思ってるんですよね。それをもう30年以上繰り返してきました。結局、このような形で作品を作ることが自分には向いていて、好きなんだと思います。それから、昨日と同じ芝居をしているつもりでもお客様の反応は異なることが多々あることも、舞台の魅力ですね。生でお客様に接するという演技形態が、僕の好みに合っています。

Pカンパニーと林さんにとって、今回も出演される平田さんはどのような役者さんですか?

平田君が劇団昴にいた頃からの付き合いです。小手先ではなく、技術的にただうまいのでもなく、俳優としてうまいなと思っています。演劇をやるための大元の部分がしっかりしてるからこそ、声の仕事でも人気を博しているのでしょう。福田作品でもいつもかならず大事な役どころをやってもらっている、信頼のおける俳優です。

指導風景

都民芸術フェスティバル公式サイトをご覧のみなさまにメッセージをお願いいたします。

Pカンパニー公演『京河原町四条上ル近江屋二階 -夢、幕末青年の。』を、3月4日から8日まで、東京芸術劇場シアターウエストで上演いたします。坂本竜馬に平田広明、中岡慎太郎に林次樹、ほか、多くの若者たちを交えて、30人近い人間で群像劇を作っていこうと思っています。エネルギッシュな舞台になると思いますし、いいセリフもいっぱいありますので、ぜひ観に来てください。

坂本竜馬役 平田 広明さんインタビュー

平田 広明(ひらた ひろあき)


平田 広明さん

映画「ジョーカー」(アーサー・フレック/ジョーカー役)や、「パイレーツ・オブ・カリビアン」(ジャック・スパロウ役)などジョニー・デップの吹き替えのほか、アニメ「ONE PIECE」(サンジ役)、ゲーム「グランブルーファンタジー」(ラカム役)、など数多くの作品を担当している。第11回東京アニメアワードで声優賞(「TIGER&BUNNY」ワイルドタイガー/鏑木・T・虎徹役)、第6回声優アワードで主演男優賞を受賞。

今回、Pカンパニーの作品に4度目の出演ですが、平田さんから見てPカンパニーはどのような劇団ですか?

Pカンパニーの前身の木山事務所の頃からお世話になっているので、長い付き合いですね。僕にとって2つめの故郷みたいな存在です。劇団昴に所属していた頃は、昴の舞台に立たなくても、木山事務所の芝居に何本か出ていた年もありましたから、なじみの深いチームです。僕にとってそういう劇団はPカンパニーだけです。

声優としても広く活躍されている平田さんにとって、舞台とはどのような存在でしょう。

まっさらな状態で劇団昴の養成所に入り、芝居の「し」の字も知らないところから演劇を学び育ててもらったので、それ以外の芝居の組み立て方っていうのは僕の中ではないんですね。映像に行っても声の仕事に行っても、結局芝居をするという意味では同じなので。だから舞台というものは、僕の中では外して考えられないものです。
それからライブ感も舞台ならではですよね。昨日とまったく同じ芝居はできないし、同じ舞台に立っている相手も昨日と同じ芝居はしてこない。お客さんも昨日は受けた場所で受けないのに、「なんでここで?」と不思議になるところで受けたりする。客席のお客さんと舞台上の役者はその場その場の刹那的な出会いですが、相手役がいて観客がいてというところで話を進めていけるのは、舞台ならではの醍醐味です。だからこそ、舞台で覚えたことを常に自分の芯にしておきたいので、こうやってときどき声をかけてもらって舞台に立たせてもらえるのは、自分の居場所をしっかり確認するという意味でもとても大事なことです。舞台はいくつになっても学ぶことばかりです。

今回は坂本竜馬を演じられます。役柄と作品の見どころについてお聞かせください。

最初にお話をいただいたとき、「坂本竜馬? ちょっと待てよ、すごく人気な人でしょ? 33歳? 無理ですよ、僕56だよ?」と(笑)。どうしようかと思いながら読ませていただいたら、どうも主役は竜馬ではなく中岡慎太郎なんですよ。「幕末に“日本を変えよう”って動いたのは竜馬だけじゃないぞ、中岡慎太郎っていう不器用な奴も一生懸命働いたんだ。そこにもう少しスポットを当ててやってもいいんじゃないか」という、福田先生の熱い中岡慎太郎愛を感じました。なので、最初こそ坂本竜馬という名前に焦ったものの、慎太郎の付き添いだと思ったら気持ちが楽になりましたね。
面白いのは、真面目にやっているんですけど、どうも竜馬はやればやるほどコミカルになっていくシーンが多いんですよ。おそらく慎太郎が真面目で頭が固くて猪突猛進タイプだから、その対比でもあるんでしょう。先生の書かれる竜馬はすごく柔らかい感じがしましたね。そんなところも見どころだと思います。

指導風景

福田善之さんの作品の魅力はどんなところだと思われますか?

難しいところだと思います。言葉も難しいですし。僕も林さんと同じく、福田さんの書く言葉は好きなんですよ。なぜなら福田さんが人間を描くのが好きだからこそ生まれる、生きた言葉だと感じますから。だからといってその言葉をセリフとして気持ちよく言えるかというのはまた別の話で、これが難しいんですよ。うまく言えたときは、福田さんの世界に少し入れたのかなという喜びを感じます。お客さんも「難しいお芝居だな」と思われる方がいらっしゃると思うので、それをどれだけ引き込めるかは、僕ら役者が福田作品を理解して、その素晴らしさを伝えられるかにかかっていると思います。だからいつまでもチャレンジで勉強させられます。気力体力がないとできませんが、そこが魅力なのかもしれません。チャレンジできる資格を与えられたということに感謝しないと、と思いますね。

都民芸術フェスティバル公式サイトをご覧のみなさまにメッセージをお願いいたします。

こんにちは、平田広明と申します。Pカンパニーさんのおかげで何年かに一度、こうやって舞台に立たせていただいております。『京河原町四条上ル近江屋二階 -夢、幕末青年の。』は、新しい幕末の解釈というか、坂本竜馬ではなく中岡慎太郎にスポットを当てた、「こういうことがあってもいいんじゃないの」というような、ちょっと斬新なストーリーかもしれません。また、福田作品はただお芝居をするだけでなく、歌があったり踊りがあったり、とてもエネルギッシュです。ドロドロしたシーンもたくさんあります。見ていて疲れるかもしれませんが、見終わったらスッキリする作品になると思います。ぜひ、劇場にお運びくださいませ。

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