2020都民芸術フェスティバル 公式サイト
東京シティ・バレエ団『眠れる森の美女』全幕 稽古場訪問&インタビュー
中森 理恵(なかもり りえ) オーロラ姫 (15日)
中森 理恵さん
SAYAMA CITY BALLET ACADEMYにて吉沢真知子に師事。8歳より1年間CHICAGO SALT LAKE BALLETで学ぶ。2009年第12回NBA全国バレエコンクール高校生部門第2位の1を受賞し、スカラシップでモナコのプリンセス・グレース・バレエ・アカデミーへ短期留学。同年東京シティ・バレエ団に入団。『ベートーヴェン 交響曲第7番』(ウヴェ・ショルツ振付)ソリストなど主要な役柄を数多く踊り、14年『ロミオとジュリエット』にてグランドバレエ初主演。以降15年『ジゼル』ジゼル、16年『白鳥の湖』と主演を重ね、17年『Octet』(ウヴェ・ショルツ振付/日本初演)ソリスト、『パキータ』エトワール、『コッペリア』(全幕)スワニルダ、『くるみ割り人形』金平糖の女王と、数多くの主演を務める。
キム・セジョン デジレ王子 (15日)
キム・セジョンさん
韓国カンウォン国立大学バレエ学部舞踊学科卒業。2002年韓国バレエ協会男子クラシックバレエ部門にて大賞受賞。05年韓国ユニバーサル・バレエ団入団。ドゥミソリストとして多くの作品に出演。在団中に06年韓国舞踊協会新人舞踊コンクールバレエ部門男子第1位受賞。07年韓国舞踊協会新人舞踊コンクールバレエ部門男子特賞受賞。09年韓国バレエ協会新人賞バレエ部門銀賞受賞。11年東京シティ・バレエ団入団。12年『ロミオとジュリエット』にて初主演。以降『ジゼル』、『ベートーヴェン 交響曲第7番』(ウヴェ・ショルツ振付/日本初演)、『白鳥の湖』、『くるみ割り人形』、『死と乙女』(レオ・ムジック振付)、『コッペリア』『眠れる森の美女』などで数多くの主演を務める。
東京シティ・バレエ団『眠れる森の美女』全幕
『眠れる森の美女』は初演から130年が経つ古典の名作ですが、これほど長く人々に親しまれてきたのはなぜだと思われますか?
中森 古典には「愛の力で悪を倒す」というテーマが多く、まずそこが多くの人に親しまれている理由のひとつだと思います。また、『眠れる森の美女』は結婚式のシーンで終わるハッピーエンドの物語なので、ご覧になっている方も幸せな気持ちで締めくくることができるというのが、長く愛されている一因かなと思います。
キム 『眠れる森の美女』はファンタジーの要素が強いので、その非現実的な部分に魅力を感じる人は多いでしょう。ストーリーの展開にダンサーだけでなく、お客様の気持ちも付いていきやすい、つながりやすい要素も大きいと思います。
『眠れる森の美女』のみどころをお聞かせください。
中森 プロローグでは妖精6人が踊る華やかなシーンがあり、1幕になったらローズ・アダージョ、2幕にはオーロラ姫もデジレ王子もバリエーションがあるし、さらに3幕はディヴェルティスマンですから猫やらブルーバードやらたくさん登場して、いずれも技術のいる踊りがたくさん繰り広げられるところは大きなみどころです。東京シティ・バレエ団には技術がとても強いダンサーや個性を存分に出せるダンサーがたくさんいるので、それぞれが楽しみつつ自分を表現する点も見どころになると思います。
キム 1幕のオーロラ姫と4人の王子とのパ・ド・ドゥはストーリーが大きく動き始める大事なシーンでもあり、見どころのひとつだと思います。2幕ではデジレ王子が100年眠り続けているオーロラ姫と森で出会うシーンがハイライトです。3幕はたくさんのダンサーがおもしろい演技を見せるので見ごたえがありますし、楽しんでいていただけるシーンだと思います。そしてデジレ王子とオーロラ姫との結婚式のグラン・パ・ド・ドゥは、クライマックスにふさわしい見どころです。
安達悦子さんによる再振り付けにはどのような印象をお持ちでしょう。
中森 基本的にはキーロフ版で行っているので、その決まりごとを守って踊っています。今回は特にマイムにセリフの意味が通っていて踊りやすいと感じますし、その分観客の方にも伝わりやすいと思います。
おふたりはこれまでも共演していらっしゃいますが、お互いをどのようなダンサーだと思われますか?
キム 中森さんはバレエを踊るために必要なものをいろいろ持っていて、まさにバレエに向いている人だと思います。体型はもちろんですが、ものすごく努力家です。集中して細かく練習している姿を見ると、「バレリーナだな」と改めて思います。実はいろいろ見てるんですよ(笑)。今回は久しぶりに組んでいますが、これからも高みを目指して、さらに素晴らしいダンサーになって欲しいです。
中森 セジョンさんは体もダンサーとして強い筋肉、素晴らしい骨格を持っているので出るラインが本当に美しんです。しかもパワフルに踊るので、エネルギッシュでとても素敵なダンサーです。パートナリングも私のクセを熟知してくれていて、なにかあってもすぐ助けてくれるので、とても安心して踊れるパートナーです。
おふたりにとって東京シティ・バレエ団はどのような存在ですか?
中森 自分を表現するのが本当に上手なダンサーが多いので、リハーサルしていても「そんな音の使い方あるんだ!」「そんな素敵な表現があるんだ!」などと感じることが多く、私も負けないよう頑張らないと、と思わせてくれます。いつでも刺激を受けますね。
キム 9年前に来日した最初からこのバレエ団に所属していたので、東京シティ・バレエ団は「おうち」「ホーム」という存在です。最初は日本語もまったくできない状態だったので、日常生活にも不自由するなかでバレエに集中するのは大変でした。演技の指導も言葉がわからないから苦労しましたが、いい役をいただいたり、先輩や仲間、友達、後輩が助けてくれたり、応援してくれたりしたおかげでここまでやってこられました。よくしてもらったことは今でも心に強く残っています。幸いバレエには言葉がありませんから、体で表現すれば理解してもらえます。踊りは世界共通ですね。これからも東京シティ・バレエ団で踊っていくと思います。
中森 私はセジョンさんより2年先に入団していて、彼が最初に日本でパ・ド・ドゥを組んだのが私だったんです。ダンサーとして特別な体だったのですぐにピックアップされ、あっという間に活躍の場を広げましたね。でも最初の頃は日本語が伝わらないゆえの葛藤も見てきたので、今セジョンさんがすらすら日本語を話している姿を見ると、私がうれしくなります(笑)。
普段あまりバレエを観る機会のない方に、バレエ鑑賞を楽しむためコツなどがあれば教えてください。
中森 やはりあらすじは知っておくと流れがわかるのでわかりやすいと思います。『眠れる森の美女』はディズニーでも取り扱っている作品なので、あらすじはすでにご存じの方が多いかもしれませんね。またマイムも意味が少しわかっていると、より楽しめるかなと思います。
キム バレエはミュージカルのように歌も言葉もないので、ストーリーは知っておくといいと思います。また、今回の振り付け指導のラリッサ・レジュニナさんがすごく細かな指導をしてくださったので、音楽ひとつひとつにマイムがつき、とても観やすく、わかりやすくなっています。その分、お客様もストーリーに感情移入しやすいと思います。
都民芸術フェスティバル公式サイトをご覧のみなさまにメッセージをお願いいたします。
中森 2月15日と16日、ティアラこうとう大ホールにて『眠れる森の美女』全幕を行います。今回のために衣装も新しく作り直しました。ぜひ観に来てください!
キム みなさんこんにちは。デジレ王子役のキム・セジョンです。今回、東京シティ・バレエ団は「眠れる森の美女」を40年ぶりに全幕公演します。オーケストラと衣装も新しくなりました。ぜひみなさんも会場にお越しください。お待ちしています。
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