東京バレエ団 柄本 弾さん 沖 香菜子さんにインタビュー

東京バレエ団 「ジゼル」

ロマンチックで幻想的、悲しくも美しい愛の物語を東京バレエ団が上演。

愛を誓い合った男性に裏切られ、精霊となってなお彼を守り抜く美しい娘、ジゼルの悲劇の物語。それは、180年前の初演以来、世界中で何度も上演されてきた傑作バレエです。
若手ダンサーの成長が著しい東京バレエ団が、6年ぶりに上演する『ジゼル』。主役を演じるお二人にお話をうかがいました。 東京バレエ団 「ジゼル」公演情報はこちら


柄本 弾さん(左)
沖 香菜子さん(右)

柄本 弾(つかもとだん)

東京バレエ団・プリンシパル。京都府出身。5歳でバレエを始める。2008年に東京バレエ団に入団、2010年に『ラ・シルフィード』『ザ・カブキ』で主役を演じ、2013年よりプリンシパルを務める。

沖 香菜子(おきかなこ)

東京バレエ団・プリンシパル。神奈川県出身。4歳でバレエを始める。2008年には文化庁新進芸術家の海外研修制度に合格してボリショイ・バレエ学校に留学。2010年に東京バレエ団に入団、2018年からプリンシパル。

ジゼルは恋をしたことを絶対に後悔していない。
──『ジゼル』はどのような作品ですか?

柄本 ロマンティック・バレエの『ジゼル』は、とても人気があります。第1幕で村娘のジゼルとアルブレヒトが恋に落ちるのですが、実は彼が貴族であり婚約者もいると知ったジゼルは、大変なショックをうけます。1幕の最後にジゼルは息絶えてしまうのですが、この場面では様々な解釈ができるので、演じるダンサーによって印象が違うと思います。第2幕では、ジゼルの墓を訪れたアルブレヒトをウィリ(若くして死んだ女性の霊)たちの長であるミルタが死ぬまで踊らせようとしますが、同じくウィリとなったジゼルが彼の命を救うというストーリーです。ウィリたちによるコール・ド・バレエ(群舞)の美しさは、東京バレエ団ならではと定評があります。

 ジゼルが亡くなるのでハッピーエンドではありませんが、ジゼルはアルブレヒトに恋をしたことを絶対に後悔していないと思いますし、2人の気持ちは最終的には結ばれるので、悲しくも美しい物語になっています。

ジゼルはバレリーナの憧れの役のひとつ。
──『ジゼル』を踊るのは初めてですか?

 入団したばかりの頃に、『ジゼル』のコール・ド・バレエを踊りました。ウィリたちの動きが本当にきれいに揃っていて、幻想的で美しいシーンに感動した覚えがあります。今回、初めて主役のジゼルを踊りますが、バレリーナとして憧れの役のひとつなので、本当にうれしいですね。

柄本 僕は6年前に一度踊っており、今回が2回目です。芸術監督の斎藤友佳理さんは「前回とは全然違う表現にしてほしい」とおっしゃっているので、ガラッと変えようと思っています。ジゼルで難しいのは、ダンサーの解釈しだいでいろいろな演じ方ができることです。今回の公演では僕と秋元康臣がWキャストでアルブレヒトを演じますが、ジゼルに対する気持ちの表現もマイム(しぐさ)も、それぞれまったく別にするよう求められています。ですから、『ジゼル』を以前に観たことがあるお客様は、「こういうアルブレヒトもあるのか」「ダンサーによって、こんなところが違う」といった楽しみ方ができると思います。

 ジゼルやアルブレヒトがそのシーンでどんな感情を抱くか、ダンサー同士で話し合いながら役作りをして芸術監督に見ていただき、指示や助言を受けながらリハーサルを重ねています。細かい設定から自分たちで決められるので、難しさと面白さの両方を感じています。

バレエならではの見どころがたくさんある作品。
──『ジゼル』の魅力や見どころを教えてください。

柄本 第1幕の途中までは、村人の収穫の踊りなどがあってとても明るく楽しい感じ。第2幕は雰囲気が一転し、月明かりに照らされた夜の森が舞台です。第2幕のコール・ド・バレエやジゼルとアルブレヒトのグラン・パ・ド・ドゥなど、バレエならではの見どころがたくさんありますよ。

 感情表現の深みという意味では、『ジゼル』はある程度年齢がいってからのほうがうまく演じられるといわれるようです。私自身、いろいろな経験を通して自分やほかの人の感情を理解し、より豊かな表現ができるようになってきたと思います。バレリーナの大先輩からみれば、まだまだかもしれませんが。

柄本 アルブレヒトは、本当にジゼルが好きで一緒に踊っていたのか。それとも、貴族の生活に疲れておしのびで村に来て、村娘のジゼルとちょっと遊ぶつもりだったのか。こうした役の解釈によって表現はガラッと変わるので、そのあたりもじっくりご覧になって楽しんでいただければと思います。

バレエはすべてがミックスされた総合芸術。
──バレエの魅力は何でしょうか。

柄本 バレエは総合芸術といわれます。踊りや音楽、美術、衣裳など、すべてがミックスされているからこそ、素晴らしい舞台になります。まだバレエの舞台を見たことがないかたも、あまり構えずに気軽におこしいただきたいですね。ダンサーはお客様の期待を裏切らないように、日々レッスンに励んでいますので。

 バレエは演劇などと違ってセリフがありませんが、私たちダンサーは心の中で言葉を交わしながら演じているので、それが伝わるといっそう面白いと思います。「わたし」や「あなた」、「踊りましょう」といったバレエ特有のマイムをいくつか知るだけでも、ストーリーが分かりやすくなりますよ。

「バレエが好き」という気持ちを伝えたい。
──バレエを始めたきっかけを教えてください。

 私の母は、自分がバレエを習ってみたかったので、娘が生まれたら習わせようと思っていたそうです。私は4歳の時にバレエ教室に見学に行き、自分から「私、これをやる!」と言ったようです。練習は楽しかったですね。できなかったことができるようになるのがうれしくて、できないことが出てくるたびにワクワクしていました。

 いま私が自信を持って言えるのは、「バレエが好き、踊ることが好き」ということです。それがお客様に伝われば、自然にバレエを楽しんでいただけると思っています。

柄本 僕は5歳の頃にレッスンに通い始めましたが、親はほかにもいろいろなスポーツをやらせてくれました。少年野球、バスケットボール、バレーボール、父がアウトドア派だったのでダイビングや釣り、スキーも。いろいろ経験したからこそいまの自分があり、演じる際の「引き出し」が多いのではないかと思います。

 高校1年のときに、同年代の男子がとても上手に踊るのを初めて見て衝撃を受け、バレエ一本に絞って本気でプロを目指しました。レッスンもできるだけ増やし、多いときは週に9クラスくらい受けていました。プロになってからもつらい思いはたくさんしましたが、周りのダンサーから、まるで背中を押されるような気持ちのこもった踊りで助けてもらったりしました。

みんなで一緒に、素晴らしい舞台を作り上げています。
──お客様へメッセージをお願いします。

 ジゼルとアルブレヒトの物語がどのように展開していくのか、いろいろ工夫してお見せしようと思いますが、あまり細かく作り込んでしまうと自然な動きがなくなるので、2人の間の空気感を大切にして、ちょっとしたタイミングや表情の変化をお互いに見逃さないようにしながら演技したいと思っています。素敵な作品になっていますので、ぜひ劇場に足をお運びください。

柄本 主役だけがよければいい舞台になるわけではなく、みんなが一緒になって素晴らしい舞台を作り上げていこうと、リハーサルを繰り返しています。劇場で皆様にお会いできるのを楽しみにしていますので、ぜひおいでください。

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