振付・演出 アンナ=マリー・ホームズさん、
演技指導顧問 リアン=マリー・ホームズ・ムンロさんにインタビュー

日本バレエ協会 アンナ=マリー・ホームズ版「パキータ」全幕

古典の名作に新たな解釈を与えた新「パキータ」。新しい感性、音楽で舞い踊る世界初演の舞台です。

アブストラクト(抽象)・バレエの傑作と名高い「パキータ」。初演は1846年と古い作品ですが、現代ではクライマックスの場面しか上演されない作品となっています。この作品を復刻し、新たな息吹を与えようとしているのが、1960年代から世界の第一線で活躍するアンナ=マリー・ホームズさんと、その娘のリアンさんです。親子で仕事をするのは初めてという二人は、実に素晴らしい体験ができていると温かい笑顔で話します。ここでは、都民芸術フェスティバルが世界初演となる新「パキータ」について語っていただきましょう。

アンナ=マリー・ホームズ
リアン=マリー・ホームズ・ムンロ

1942年、カナダ生まれ。トロント王立音楽院でピアノを身につけ、バンクーバー、ニューヨークでバレエを学ぶ。レニングラード・バレエ学校への留学を経験した後に、カナダのロイヤル・ウィニペグ・バレエ団のソリストを務める。その後も1985年の現役引退まで数多くの世界的バレエ団で活躍。ボストン・バレエ団の芸術監督やダンス教育センター学部長、などを務め後進育成に励む。そのかたわらで「白鳥の湖」、「ドン・キホーテ」といったクラシックバレエの再演にも熱心に取り組む。今回は愛娘のリアン=マリー・ホームズ・ムンロを演劇指導顧問に迎え、久々に都民芸術フェスティバルの舞台に参加する。

日本の観客がまだ見たことのないようなステージを、素晴らしいダンサーたちと作りあげていく。

──今回上演される作品をご紹介ください。

アンナ:「パキータ」は元々、古典ですが、近年は最後の大団円の部分しか上演されていませんでした。今回はこの「パキータ」を全幕復刻したいと思っています。日本には本当に素晴らしいダンサーたちがいます。今回は日本で一番といえるゲストダンサーをお招きすることもできました。彼らのために、今回は新しい振付をつくっています。素晴らしいダンサーのみなさんと一緒に仕事をし、彼らのために自分なりの振付をつけること、そして日本の観客がまだ見たことのないような作品を作れることは、私にとって楽しみなことなのです。


リアン:私は演技とストーリーテリング、演出を担当しています。芝居というよりは、踊りの部分をとくに重要視しています。このバレエの大きな特徴であり見どころは、フラメンコやロマのダンスをたくさん取り入れることです。

パキータという一人の情熱的な女性を描く作品。新しい踊りと音楽に注目してほしい。

──新版「パキータ」は今回が世界初演とのことですが、意気込みをお聞かせください。

リアン:私は情熱的なバレエが好きですし、自分自身もバレエに情熱を傾けてきました。主人公のパキータもとても情熱的な女性です。その女性の姿を、恋愛を通し表現していく。今回はそういう部分にとくに力を入れたいと思っています。


アンナ:今回はこれまでの「パキータ」ともまったく違っていて、見どころ満載になるのではと意気込んでいます。私は以前、「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」も振付していますが、これらの作品とも違う新しいバレエなのです。今回の「パキータ」は、踊りはもちろん、音楽も新しい。音楽家たちとセッションして新しいものを作っています。

リアンが手助けしてくれているおかげで、新しい世界に目を向けられるのです。

──今回、リアンさんは母であるアンナさんと初めてお仕事を一緒にされますが、どのような心境ですか?

リアン:とても素敵なことで、このように日本で一緒に仕事ができているのは実際、とても素晴らしい経験になっています。私は小さい頃、母にバレエを習っていました。一緒にスタジオに立つのはそれ以来のことです。あれから、とても長い期間が経ちました(笑)。以前、日本バレエ協会で母が「白鳥の湖」の復元振付を担当したことがあったのですが、実はそのときも私は同行しておりました。まだ14歳で、家族として一緒に来ていただけだったので、今回は一緒に働けてとても楽しいですし、うれしく感じています。

──アンナさんはどういう想いから今回、リアンさんにお声がけされたのでしょうか?

アンナ:私も彼女と同じように親子で一緒に仕事できることを、とても光栄に思っています。私はクラシックで、古典バレエの中でやってきたのでそのなかに彼女の若々しく新しいアイデア、解釈を入れてほしいと思いました。とくに表現の部分で彼女が演出を手伝ってくれているおかげで、私も新しい世界に目を向けることができています。

日本のダンサーたちと一緒に仕事ができることは、本当に楽しく素晴らしい瞬間。

──日本で公演することを、どのように感じていますか。

アンナ:本当に素晴らしいことです。優秀なダンサーが揃っていますし、一緒に仕事をするのが本当に楽しい。実は何人かの方とは以前、日本の違うバレエ団の舞台で一緒に仕事をさせてもらったことがありました。今回、日本バレエ協会の公演で再会することができ、とても光栄です。日本語ってとても難しいですが「ちょっと待って」は日本語で言えるようになりました(笑)。

世界で初めて上演される新「パキータ」。どうぞ、足をお運びください。

──最後にお客様に、メッセージをお願いします。

私たちが上演する新しい「パキータ」に多くの方が来てくださることを願っています。ダンスもたくさんありますが、ドラマも詰まったバレエです。私の娘、リアンが演出を担当して私がダンスの振付の復元をしています。
今回の公演がワールドプレミア、世界初演です。この新しい作品をぜひ、観に来てください。



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