テノール サイモン・オニールさんにインタビュー

東京二期会オペラ劇場『タンホイザー』

全てのクラシックの中でも名曲と言える序曲で始まる、傑作オペラ『タンホイザー』を、東京の歌手とともに歌えることに喜びを感じています。

その伸びやかでドラマチックな声で世界を魅了し続けるテノール、サイモン・オニールさんは、日本食が大好きで来日公演を楽しみにしていたと茶目っ気たっぷりに話します。そんな彼が今回、挑戦するのは東京二期会オペラ劇場『タンホイザー』。ここでは、数多くのワーグナー作品で主役を務めてきた、このワーグナーのスペシャリストに『タンホイザー』の魅力、オペラの素晴らしさを語っていただきます。

サイモン・オニール

現代最高のヘルデンテノールのひとり。ミラノ・スカラ座やウィーン国立歌劇場、メトロポリタン歌劇場、ザルツブルク音楽祭といった一流歌劇場、音楽祭への出演が続き、輝かしい声と演技力でその地位を不動のものとしている。今シーズンもサンフランシスコ歌劇場『ローエングリン』やデンマーク王立歌劇場『トリスタンとイゾルデ』題名役と活躍が続く。都民芸術フェスティバル初登場。

僕の「ワーグナー・レパートリー・リスト」のまさに最後の役。日本で演じることがうれしいです。

──来日されて、今、どんな心境でしょう?

今回、東京二期会オペラ劇場でこの素晴らしいオペラを歌えることに、とてもとても感激しています。以前も日本で公演させていただきましたが、僕はとても日本が好きですし、日本に戻って来られて本当にうれしいんですよ。
今回の作品は、僕のオペラ歌手人生において、ひとつの節目でもあります。作曲家、リヒャルト・ワーグナーがテノールのために作ったオペラはこれまでにたくさん歌わせていただきました。『ジークフリート』、『トリスタンとイゾルデ』、そして『ローエングリン』などですね。今回の『タンホイザー』のタイトルロールこそ、僕のワーグナー・レパートリー・リストの最後の作品。この東京でこの役のデビューを果たせることに興奮しています。

──先ほど日本が好きだとおっしゃっていました。どのようなところを気に入っていますか。

日本公演はいつもとても楽しみにしています。ここには素晴らしい友人たちがいますしね。そして、僕は日本食が大好きなんですよ。特にウナギがね。それと、僕は街のあちこちにある立ち食い寿司屋も大好きだし、寒い夜に食べるラーメンなんて、もう最高ですよね。日本にいるときは、日本の料理ばかりを食べていますよ(笑)。

序曲に美しいアリア、そして合唱……さまざまな見どころがある名作『タンホイザー』。

──作品の見どころを教えてください。

僕はこの『タンホイザー』がずっと好きでした。本当に素晴らしい、輝かしい音楽ですよね。幼少期に金管楽器もやっていたので、この曲の序曲やホルンを聴いて育ちました。すべてのクラシック音楽の中でも偉大な序曲のひとつと言えるでしょう。ワーグナーは1845年にこの曲を初演させましたが、彼は最後まで『タンホイザー』を完成させることはできませんでした。僕たちは今回、パリ版(一部ドレスデン版)で上演します。ヴェーヌスベルクのシーンに特に変化があり、『パルジファル』など、彼のその後のオペラ作品の片鱗を見ることができる素晴らしい作品です。

この偉大なオペラ作品の見どころはやはり序曲です。また、僕自身のパートですと第3幕の引き込まれるようなアリア。あとは第2幕の冒頭、エリーザベトのアリアもト長調の素晴らしい曲でとても有名です。でも、このオペラの最も重要な見どころは合唱ではないでしょうか。東京には素晴らしい歌手が揃っていて、合唱も本作の大きな見どころと言えるでしょう。今作で彼らが歌う楽曲は、他のどのオペラにも引けを取らないもの。この素晴らしいコーラス隊の歌声をすぐ近くで聴くことができる最高の特等席で、僕は自分のパートを歌うことができるんです。

音楽だけでなく台本までも執筆した偉大な作曲家ワーグナー。彼の名作を歌い継ぐ。

──ワーグナーは、どんな作曲家でしょうか。

僕は今50代前半ですが、ニューヨークと故郷のニュージーランドでオペラの勉強を始め、ワーグナー作品の全てのテノール役を歌ってきました。ワーグナーのオペラは僕の得意とするところです。2006年にはメトロポリタン歌劇場のツアーで日本公演を行いました。『ワルキューレ』のジークムント役でしたね。僕のヒーローであり、あこがれのプラシド・ドミンゴのカヴァーができたことは、この上なく光栄な機会でした。ワーグナーを歌い始めたのはこの作品からなんです。

ワーグナーがスゴいのは音楽だけではなく、オペラの台本もほとんど全て書いているということ。もし、彼が現代にいたなら映画音楽の名作曲家、ジョン・ウィリアムズのようになっていたでしょう。そして、それに止まらず、作品自体の作り手であるという点で、ジョン・ウィリアムズとスティーブン・スピルバーグをミックスしたような人だったかもしれない。それくらい偉大な人ですね。日本の観客の皆様が、ワーグナーを愛してくれるのは嬉しいんですよ。僕も彼の音楽を歌うのがとても好きですから。

優秀な歌手が集う東京で、ともに最高の音楽を届けられることがうれしいです。

──ずばり、オペラの魅力とは?

そうですね、僕はもちろんワーグナーの作品以外にも出演してきました。前回、東京に来たときは、新国立劇場で『トスカ』のカヴァラドッシ役でしたね。この役もとても気に入っています。そう、オペラにはさまざまな作曲家がいるのが面白いですよね。ワーグナーは1840年代に『タンホイザー』を書いていますが、彼はベッリーニやドニゼッティという当時の作曲家の音楽に魅了されていたのだと思います。一方で、同年代を生きたもう一人の名作曲家ヴェルディも偉大で、僕はヴェルディの『オテロ』を歌うのも好きですし、イタリアオペラという意味ではプッチーニも素晴らしい。それでも、僕にはドイツのスタイルが合っていると感じています。それで、ワーグナーやモーツァルト、ベートーヴェン、シュトラウス、マーラーを歌い、これまで素晴らしいキャリアを積んでくることができたんです。

今回の『タンホイザー』、この音楽は偉大なオペラのひとつですよね。この作品を上演するには、たくさんの優秀な歌手が必要です。そして、ここ東京にはその歌い手がいる。その一員になれてとても嬉しいですし、最高の音楽、そして仲間とともにこの難しい作品を一緒に作りあげていけるというのも、オペラの面白さだと感じています。東京二期会オペラ劇場のステージに立って、観客の皆様の前で歌うのが待ちきれません! ぜひ会場に来ていただきたい、とてもとても楽しい、素敵な音楽の時間になるでしょう。

『タンホイザー』は最高の舞台になります。会場でお会いしましょう。

──最後にお客様に、メッセージをお願いします。

東京二期会オペラ劇場の素晴らしいオペラなので、ぜひお越しください。この素晴らしい国に戻ってきて日本の食を満喫できることも楽しみですが、このオペラを歌うことができ本当に嬉しいです。『タンホイザー』の劇場でお会いしましょう。



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