阿知波悟美さんにインタビュー

劇団NLT 「Musical O.G.Ⅱ〜歌って、生きて〜」

9年前にバズッた「オールドガールズ」の二人が熱海を舞台に再び集結!

2016年に初演され、ロングラン大ヒットとなったミュージカル「O.G.」の続編に当たる「Musical O.G.Ⅱ〜歌って、生きて〜」。前作に続き企画も担当したカズエ役の阿知波悟美さんに、作品が生まれた背景や見どころ、そして「Ⅱ」への思いなどをうかがいました。

阿知波悟美(あちわ さとみ)

日本工学院卒業後、劇団NLTに入団。28歳の時に「レ・ミゼラブル」初演オーディションに合格してテナルディエ夫人役で出演。2010年にミュージカル「キャンディード」で読売演劇賞優秀女優賞を受賞。映画、ドラマでも多くの作品に出演。2023年、ミュージカル「O.G.」の企画およびカズエ(役)で紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞。

あのスミ子とカズエが帰ってきた! 多くの声に応え生まれた「O.G.」の続編

──作品のご紹介をお願いします。

この作品は、2016年初演の「O.G.」という作品の続編に当たります。前作は80席程度の小さな劇場から始まりましたが、おかげさまで好評を博し、もっと規模の大きなホールサイズに脚本を書き直して2019年から全国各地で巡演しました。コロナ禍と重なり困難なこともありましたが、2023年4月に銀座博品館劇場で千秋楽を迎えるまでに、上演回数215ステージ、10万人以上の方にご覧いただきました。歌舞伎町のキャバレーを舞台に、スター歌手を目指して上京したものの、鳴かず飛ばずのまま38年経ってしまった旺なつきさん演じるスミ子と私が演じるカズエに、思いがけないミラクルが起こるというストーリーでした。今回はその後のスミ子とカズエのお話になります。

オールドガールズ「O.G.」として一躍スターになってから9年後、世間はすっかり二人を忘れ、スミ子は熱海のスナックにいるところから話が始まります。そこに失踪して行方不明だったカズエが訪れ、、、。
続編ではありますが前作をご覧になっていない方でも問題なく楽しんでいただけるように工夫しましたので、そこはご安心ください。

──阿知波さんは前作で紀伊国屋演劇賞も受賞されました。それだけ高い評価を得たのはなぜだと思われますか。

等身大の初老の二人が「何だかよくわからないけどガシガシ前に進んでいく」という姿が、受け入れていただけたのだと思います。「現状に文句があってもできることを続けていく」といった生きるヒントのようなものが散りばめられていたと思うので、そこが年齢も性別も超え、感じ取っていただけたのかもしれませんね。

続編制作の不安は、丁寧に作品をつくることで解消された

──続編を制作されることになった経緯をお聞かせください。

前作の全国巡演中から「続きが観たい」というご要望を随分いただき、こちらも徐々にそういう気持ちが盛り上がっていきました。大変ありがたいことですが、実はちょっと及び腰のところもあったんです。というのも、映画でもヒット作の続編は面白くなかったりするじゃないですか(笑)。続編でがっかりさせてはいけないという不安や恐怖もあり、みんなとは「Ⅱ」をつくるにしても慎重にじっくり進めよう、そんな話をしていました。それが色々なタイミングが合いこの冬に上演できることとなりました。そうと決まれば「よっしゃ、やってやろうじゃないの」と、腹がすわりました。まきりかさんに本を書き上げていただいたらみんなで精査し、「こんな風に変えてみたらどうだろう」など意見を出し合い、最初に抱いていた不安な思いを一つずつ塗りつぶしていきました。

──作品の見どころを教えてください。

いい年の二人が「何でこんな馬鹿なことやってるんだろう」というところです(笑)。それから歌あり踊りありのショーのシーンもあるので、楽しみにしていただければと思います。

──歌あり踊りありで体力的にもハードな作品ですが、どのように健康管理されていらっしゃいますか。

まずは、好き嫌いせず、ちゃんとしたものを食べるということを心がけています。それからしっかり睡眠を取ることですね。食事も睡眠も当たり前のことですが、どちらも体調に直結する大切な要素です。それから筋トレは習慣にしています。今回は舞台で歌い、ヒールの靴で踊らないといけませんから、けが防止のためにも必須ですね。そしてドレスも着ますので、ちゃんと食べるといっても食べすぎには注意しないと(笑)。

「芝居は楽しいもの」、喜劇への熱い思い

──劇団NLTのご紹介をお願いします。

ブールヴァ―ル劇と呼ばれるフランスのコメディを上演する劇団として、1964年に賀原夏子らが創設しました。今でこそ喜劇は社会に広く受け入れられていますが、当時の捉えられ方は違いました。それでも賀原先生は「芝居は楽しければいいんだ」を実践し、その精神を今も受け継ぎ、海外の秀作コメディを中心に広範囲なレパートリーを展開するほか、今作のような創作劇にも取り組んでいます。NLTは文化庁主催芸術祭賞を4度受賞、現在までの上演作品は250以上になります。

私にとってNLTは「帰って来る場所」です。テレビや映画の仕事をしたり、ほかの舞台に出させていただいたりしても、必ず戻ってくるところですね。時にはNLTの作品に何年か出ないこともありますが、ホームグラウンドであることに変わりはありません。この劇団でみんなで稽古しながら一緒に一つの舞台を作り上げていくのがとても好きなんです。

──都民芸術フェスティバルウェブサイトをご覧のみなさまへメッセージをお願いいたします。

前作をご覧になっていない方も思いきり楽しんでいただけますので、ぜひ会場にいらしてください。65歳オーバーのふたりが舞台でどれくらいのことをするのか、なかなかの見ものですよ。ぜひお楽しみに!



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