特集9:今この瞬間の自分をダンスに託す|2017都民芸術フェスティバル 公式サイト

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今この瞬間の自分をダンスに託す

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久住亜里沙『ココロの遺伝子』

久住亜里沙さん

久住 亜里沙(くすみ ありさ)

菊地尚子、能美健志に師事。日本女子体育大学舞踊学専攻卒業。菊地尚子率いる705 Moving Co.にて数々の作品に主要メンバーとして参加。また上原尚美、能美健志、宮本 舞、鈴木ユキオ、Nathan Trice等、新進気鋭の振付家作品に出演。全国舞踊コンクールにて上位多数受賞、2011年自身のソロ作品『μm-ココロとカラダと距離-』で現代舞踊協会制定新人賞受賞。2013年、単身ニューヨークへ。 映像、インタラクティブアートとダンスとのコラボレーションプロジェクト『MERGE vol.1 』を現地の美術家たちと企画、TRISKELION ARTS THEATERにて公演し好評を得る。帰国後、新国立劇場にて新進舞踊家海外研修員による現代舞踊公演(主催:文化庁、現代舞踊協会)にて『0℃ 』を発表。2014年、ニューヨークにて『MERGE vol.2』をCenter for Performance Researchで公演。同年、『Cocoon』を発表し現代舞踊協会制定群舞奨励賞を受賞。2015年、日暮里サニーホールにてArisa Kusumi Presents『四季』を公演。
2017年、3331 Arts Chiyodaにて『MERGE vol. 3』を日本で初公演。

今回は新作を上演されます。テーマや特色、現時点での構想などをお聞かせください。

DNAやRNAが形成する二重らせん構造を見た時、「人と人との繋がりに似ているな」とインスピレーションを受け、これをモチーフにして作品を作りたいと思いました。DNAとRNAにはそれぞれ4つのタンパク質があるので、衣装を4色に分けることでそれを表してみました。1シーン目ではミニマル・ミュージックに合わせ、ダンサー達がコミカルにタンパク質の物質を体現します。塩基配列、転写、翻訳の3つのシーンに分けてフォーメーションが連続的に変わっていくのですが、それは「顕微鏡でのぞいたかのような世界」をイメージしています。2シーン目では人間関係、心と肉体にテーマを置きました。現時点ではまだ創作途中ですが、DNAの結合のように、人と人との繋がりを踊りで表現できたらなと思っています。

見どころはどのようなところになりそうですか。

連続的なフォーメーションの変化やダイナミックなムーブメントです。なかでも繋がりを意識した二人組のコンタクトや最後の群舞は、最大の見どころになると思います。群舞はこれからまだ追加するので、わーっと盛り上げたいですね。体はその分きつくなりますがテンションが上がるので、私などは疲れた方がむしろアドレナリンが出て動けるほどです。

出演されるダンサーのご紹介をお願いします。

稽古風景

スタジオやカンパニーで活躍する素晴らしいダンサー17人が集まっています。全国舞踊コンクールで受賞されていたり、ニューヨークにダンス留学してスキルを磨かれていたりと、そうそうたるキャリアの持ち主ばかりです。今回が初顔合わせではなく、大学が同じだったり、過去に共演したことがあったり、あるいは同じスタジオで一緒にレッスンしたことがあったりと、みんなもともと何かしらの繋がりがあって知り合いなので仲がいいんですよ。時が経ってもこうして大切な踊り仲間とこの公演で共に踊れることが、本当に光栄でうれしいです。

振付の際に心がけていらっしゃるのはどんなことでしょうか。

作品のコンセプトがぶれないように常に気をつけています。ムーブメントやダンステクニックが先に来てしまうと、私が伝えたいメッセージが弱くなってしまう恐れがあります。ですから迷った時は最初に作った作品ノートを見て初心にかえり、しっかり作品のテーマを考えて振付するよう心がけています。また、思案したことや悩んでいることについては、出演者と共有して意見を聞き、的確な意見や助言は柔軟に取り入れるようにしています。

今のダンスのスタイルに到達するまでの過程で、どのようなことに影響を受けましたか。

幼少の頃からご指導して頂いた菊地尚子先生の影響がとても大きいですね。彼女からダンスの基礎知識やリリーステクニック、フロアテクニック、舞踊家としての在り方を学びました。また18才の時、彼女が留学している時に追いかけてニューヨークに短期留学して以来、作品作りのインスピレーションを受けるため、そしてダンス技術や感性を磨くために、定期的に渡米しています。28才の頃から振付家として頑張りたいという意識が芽生えてからは、能美健志先生から振付法を学びました。照明1つで劇的に空間が変わることを教えてくれたのも能美先生です。こういった師匠のほか、25年間の舞踊人生の中でさまざまな振付家の作品に出演してその現場で学んだことで、今の私があるのだと思います。

踊ること、ダンスの魅力とはなんでしょう。

自分を精神的に追い込み、たくさん練習して努力を重ねることは苦しいものですが、それによって自分の踊りが変化していきます。そこが楽しいんですよね。踊りで表現できることが増えるほどダンスへの欲求が高まり、自分の世界観をさらに探究することになります。その尽きることのない探究心や、踊りにはゴールがないことが、私にとっては最大の魅力です。現在の環境や周囲の支えがあってダンスが続けられることに心から感謝していますし、これほど夢中になれるダンスに出会えて幸せです。

観客へのメッセージをお願いします。

普段ダンスを見る機会がないお客様も、映画を見る感覚でコンテンポラリーダンスの舞台に気軽に足を運んでいただけたらうれしいです。出演者一同、劇場でお待ちしています。

山本 裕『ベートーヴェン交響曲第九番-歓喜の歌-』

山本 裕さん

山本 裕(やまもと ゆう)

折田克子、水谷みつるに師事。
現代舞踊協会制定新人賞、ダンスプラン賞、埼玉全国舞踊コンクール第1位、チェコで開催されたNew Praha Dance Festivalでダンスシアター賞を受賞するなど、数多くの受賞歴を持つ。文化庁新進芸術家在外研修員制度でオランダのスカピーノバレエ団に1年間留学。シャープなテクニックと独創的な振付には定評があり、ヨーロッパ各地のフェスティバルや国内のダンスカンパニーより招待され、振付提供やゲスト出演している。近年では、オーケストラと落語によるオペラ『兵士の物語』や、江戸東京博物館主催スカイツリー完成記念特別公演では戯曲『エッフェル塔の花嫁花婿』の振付・出演を手掛けるなど、異分野のアーティストとも積極的にコラボレートし、その活動はダンスのジャンルにとどまらない。瀬戸内国際芸術祭では、香川県の直島よりアーティスト・イン・レジデンスとして招聘。またアルティ・ブヨウ・フェスティバルやシアターΧ国際舞台芸術祭の振付家に選出されるなど、着実に活動の幅と奥行きを広げている。
2015年、キッド・アイラック・アート・ホールの依頼により初のソロ公演を行い、満員御礼の好評で幕を閉じた。2016年にはアジアや世界各国の新進振付家が集結する福岡ダンスフリンジフェスティバルにおいて、作品『深海』が選出される。おかやま国際音楽祭岡山シンフォニーホール開館25周年記念コンサートでは生オーケストラによる『ボレロ』、そして岡山県主催の初の事業、クラシック音楽と舞踊のコラボレーションでは『ベートーヴェン交響曲第九番 ~歓喜の歌~』を発表する。
都民芸術フェスティバル参加現代舞踊公演の振付家に史上初の2年連続選出され、その舞台の模様はJ:COMチャンネルにて放映された。

東京初演となる今回の作品は、どのような作品なのでしょうか。

この作品は昨年、岡山県が主催した「クラシック音楽と舞踊のコラボレーション事業」で発表したものです。「第九の第4楽章『歓喜の歌』で作品を」と依頼された時、まずは誰もが知るこの名曲を現代作品として、かつ多くの方々に身近なものとして楽しんでいただける作品にしたいと思いました。それから「どんな人種や世代でも、どんな価値観を持っていても、同じように感じられる"歓喜"とは何だろう」と考えました。そして頭に浮かんだのが、愛・生命・家族というキーワードです。そこで作中では一人の人間が成長していくさまと、それを取り巻く者達を、「肉体的な誕生」と「精神的な誕生」のダブル・ミーニングで描き出していきました。

見どころはどのようなところですか。

アメフトの格好をしたダンサーが争う場面は、アメフトを精子に見立てています。その後の場面では花嫁衣裳を着たダンサーがアメフトのボールを持って出てくるのですが、そちらは卵子をイメージしています。精子と卵子が受精するシーンは神秘的なので、その感動をアメフトという形で表してみました。一方、このアメフトは競争社会や人間社会も表わしています。ボールを持たないアメフトはただの傷つけあいにしかならず、ボールが存在することで、初めて平和の象徴でもあるスポーツとして成立します。それは人間関係にも通じるものがあるのではないでしょうか。このアメフトのシーンもこうしたダブル・ミーニングで進むので、大きな見どころになっています。

出演されるダンサーのご紹介をお願いします。

稽古風景

20代から30代の実力と実績があり、一緒に目的へ向かってくれる素晴らしいダンサーたちが出演します。その中でもとりわけ強烈な存在感を放つ木許惠介さんは、この作品の中で重要な役どころを担ってくれています。

振付の際に心がけていらっしゃるのはどんなことでしょうか。

空間の美しさや作品構成、意外性、ムーブメントの音の外し方などにはこだわっている方ですが、何よりも人を生かすことを大切にするということです。いいところも悪いところも、振付家である私がすべて受け止めて生かしたいと思っています。「どんな人間にも価値があるということを証明してみせたい」という気持ちもありますし、お客様にも「価値のない人などいない」と感じて欲しいですね。感動を呼ぶというのは、特定の技術レベルを見せつけることではないと思います。人の魅力を引き出すことこそ最大の感動であり、私が心がけていることです。

今のダンスのスタイルに到達するまでの過程で、どのようなことに影響を受けましたか。

ほかの人のダンスからはほとんど影響を受けていません。尊敬する方はいますが、ほかの人と同じようになることにもブランドにも興味はありません。自分の足で立つためには、むしろダンス以外のジャンルから学んだほうがオリジナリティにつながるのではないかと思っています。レベルが高いとか低いといったことは大切な要素の1つではありますが、それ以上に私たちは作品を通じて自分を表現し、それを一緒に分かち合う努力をしていきたいと思っています。

踊ること、ダンスの魅力とはなんでしょう。

踊っている時は、自分が誰なのかということも忘れてしまうほど無心になれて幸せですね。また振付する立場としては、作品で自分を表現することが魅力につながっています。プロとして舞台に立つのならば必要な条件もありますが、ただ純粋にダンスを楽しむというのは誰にでもできることです。だからダンスは上手だとか下手だとか、自信の有無など関係ないものになって欲しいと思いますし、そういうことに縛られずダンスに打ち込む姿はとても素敵です。それからお互いに刺激を受けたりさまざまな人と出会えたりするのも、ダンスの魅力だと思います。

観客へのメッセージをお願いします。

『ベートーヴェン交響曲第九番-歓喜の歌-』の中には愛や生命や家族の記憶が散りばめられている、そんな作品にしたいと思って創作しました。そのため、観ているうちにお客様のいろいろな記憶も引き出されるかもしれません。私にしかできない作品だと自信を持って言えますし、会場が1つになって楽しめたらと思っていますので、ぜひ観にいらしてください。

二見一幸『RITE-儀式-』

二見 一幸さん

二見 一幸(ふたみ かずゆき)

La Danse Compagnie Kaléidoscope/Dance Brick Box主宰
ICHIBANGAI Dance Studio/G-Screw Dance Labo講師
東京都立総合芸術高校/日本女子体育大学非常勤講師
1981年振付家を目指し庄司 裕に師事。埼玉国際創作コンクール大賞、こうべ全国洋舞コンクール1位、東京新聞全国舞踊コンクール創作1位東京新聞大賞受賞。文化庁芸術家在外研修員としてフランスへ2年研修。1996年帰国後、La Danse Compagnie Kaléidoscopeを設立。以来、クリエイティブコンセプトを深化させる旅が続く。文化庁芸術祭優秀賞、ベストダンサー賞、音楽新聞村松賞受賞。外部ワークショップ及び作品振付指導も多数。マシューボーンカンパニー来日時には、レッスン講師に指名される。東京新聞制定石井 漠・はるみ指導者大賞、現代舞踊協会制定群舞奨励賞、チャコット賞、江口隆哉賞(江口隆哉賞に係る文部科学大臣賞)を受賞。さらに、創作公演活動を続け、後進の育成にも力を注いでいる。

今回は新作を上演されます。作品のテーマや特色、現時点での構想などをお聞かせください。

まず、「集団での行動や関係性をスリリングに描きたい」という思いがそのまま作品のテーマになっています。生身の人間が集団で生活するためには緊張感のある「儀式」という行為が必要であり、人々は集団生活とどう向き合い、時に戦うのかということを表現します。音楽はマイケル・ゴードンの『Weather One』という曲を丸ごと使います。普段だと自分の作りやすいようにエフェクトを使うことも多いのですが、この曲自体が作品のテーマにぴったり合っていると思ったので、今回は手を加えずに挑んでみます。かなり挑発的に攻め立ててくる曲なので、儀式の緊張感を音楽に融合させて表現したいと思っています。実は昔、この曲でデュエットを作ったことがあります。その時も本当は群舞で作りたかったのですが、当時の自分はまだ多くの人と関わり、エネルギーを1つにまとめ、作品を上へと持ち上げる力が足りないと思い、実現しませんでした。今回は機が熟したのか、「群舞で作りたい」と思った時、その気持ちに迷いはありませんでした。

見どころはどのようなところになりそうですか。

集団のエネルギーですね。ダンサー達が頭で理解するのではなく気持ちで感じるというところにエネルギーを持っていけたらいいなと思っていて、そこが観ている方にしっかり伝われば、それが見どころにつながると思います。道具を使ったり、音楽をいろいろなエフェクトで細かく構成したりといったことをせず、ただただ原曲に体で挑んでいるので、そのエネルギーは出したいと思っています。

出演されるダンサーのご紹介をお願いします。

稽古風景

僕が主宰するダンスカンパニーカレイドスコープというグループのメンバーが中心です。中でも田保知里さんは設立当時から一緒に盛り上げてくれているパートナーで、同じくらい長い付き合いになっている人も何人かいますね。ほか、池田美佳さんや佐藤洋介さん、三井聡さんはミュージカルやジャズの方面でも有名な方々で何度か一緒に仕事をさせていただく機会があり、それがご縁で今回お願いしました。

振付の際に心がけていらっしゃるのはどんなことでしょうか。

きっちり整え過ぎてしまうとそれがうまくいかなかった時の切り替えが難しいので、あまり事前に予習して用意しすぎないようにしています。それに、最初の考えはうまくいかないことのほうが多いんです。現場でみんなの様子を見ながら何かしらつかもうとする方が、僕の場合はわりとうまくいきます。ですから基本的には数枚の絵コンテだけを用意して、あとは現場の空気で作り上げています。

今のダンスのスタイルに到達するまでの過程で、どのようなことに影響を受けましたか。

師事した庄司裕先生の影響はやはり大きいですね。中学生の時にたまたま庄司先生が作品を作っている現場を見せてもらい、ダンサーに振付してダンサーが動いてどんどん作品になっていく光景を目の当たりにして、「なんて面白いんだろう」と思ったのが振付家への第一歩でしたから。それから文化庁芸術家在外研修員としてフランスで2年間過ごしたことも大きな経験で、体の使い方の解釈など「こんなスタイルもあるのか」と新たな発見が多く、帰国後に周囲から「踊りが変わった」と言われました。渡仏前もグループを組んで小さなライブハウスで公演は行っていたのですが、カレイドスコープを設立して活動を始めたのは帰国してからです。

踊ること、ダンスの魅力とはなんでしょう。

人にはそれぞれ見たいものや聞きたいこと、作りたいものがあるわけで、僕の場合はそれを表現する方法がコンテンポラリーダンスです。ですから踊りとは、その時の自分が何をしたいのか、何を考えているのかがベースになっているものだと思います。表現するためには踊り続けなければいけないし、同時に自分の中から出てくるものを見つめ、常に自分と対峙していかなければいけません。そうして作って踊るという作業そのものが、僕にとってはダンスの魅力だと感じます。

観客へのメッセージをお願いします。

僕が抱いたイメージの作品を作るということは、僕自身が見たいものを作っているということでもあります。そこを共感していただけたらうれしいです。ダンスでしか見られないエネルギーのようなものを客席にお届けできるように頑張ります。

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