特集1:戯曲『ゴドーを待ちながら』の魅力|2017都民芸術フェスティバル 公式サイト

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戯曲『ゴドーを待ちながら』の魅力

柄本 佑さん、柄本 時生さん
柄本 佑さん(左) 柄本 時生さん(右)

柄本 佑(えもと たすく)

1986年生まれ、東京都出身。
2001年、映画『美しい夏キリシマ』('03/黒木和雄監督)の主人公の少年役のオーディションを受け合格。同作品で第77回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、第13回日本映画批評家大賞新人賞を受賞。その独特な存在感と空気のように自然な演技で出演作ごとに役の幅を広げ、舞台、映画、テレビドラマと多岐にわたり活躍している。2016年、エランドール賞新人賞受賞。最新作に2017年5月6日公開の映画『追憶』(降旗康男監督)など。俳優の柄本時生は実弟。

柄本 時生(えもと ときお)

1989年生まれ。東京都出身。
2003年、映画 Jam Films S『すべり台』(主演/2005年公開)のオーディションに合格し、デビュー。2008年の出演作品により第2回松本CINEMAセレクト・アワード最優秀俳優賞を受賞。唯一無二の存在感を持つ俳優で、舞台、映画、テレビドラマと幅広く活躍している。最新作に2017年1月5日スタートのテレビドラマ『増山超能力師事務所』(読売テレビ・日本テレビ系)など。俳優の柄本佑は実兄。

劇団東京乾電池 ET×2 第5回公演『ゴドーを待ちながら』

公演情報はコチラ

劇団東京乾電池の中に「ET×2」を結成された経緯を教えてください。

  アゴタ・クリストフの『ジョンとジョー』という戯曲を読んだ叔母※1から、「これ、佑と時生でやったら?」と言われたのが最初のきっかけでした。それならユニットを結成してやろうかという話になり、ふたりのイニシャル(苗字の「E」と、佑と時生の「T」)から命名しました。

時生 「ETが二人」だから「ETかける2」って、今やどちらが名付け親なのか覚えていないほどひねりのない(笑)、そのままですよね。あと、ユニットを作った理由の1つに、劇団がとても楽しそうだったというのがあります。

  僕らは小さい頃から「劇団東京乾電池」が身近な存在でしたから※2、劇団の方々がみなさんで舞台を作っていくのが、大変な面も含めて楽しそうに見えていました。それで僕らも一緒に作ってみようかと。

『ゴドーを待ちながら』は2014年の第4回公演に続く2度目の上演になります。今回もこの作品を選ばれたのはなぜですか。

柄本 佑さん

  実はこのユニットを立ち上げた時、将来的には『ゴドーを待ちながら』を上演できたらいいねという話はしていたんです。

時生 二人でやる芝居と考えた時に、ぽんと頭に浮かぶのが『ゴドー』だったんですよね。それでその後、ET×2の企画を考えるたびに、『ゴドー』は候補に挙がったんです。

  ただ公演の時になるとちょうどほかにやりたいものがでてきて、『ジョンとジョー』の後は加藤一浩さんの『イリーニャの兄弟』、別役実さんの『AとBと一人の女』を上演しました。そして2014年に4回目の公演が初めてスズナリで行われることに決まった時、これは『ゴドー』だなと。満を持してという感じでした。

『ゴドーを待ちながら』チラシ
PDF(1.06MB)

時生 スズナリで『ゴドー』をやったらかっこいいじゃないかと(笑)。

  ユニットを結成してから戯曲をいろいろ探したんですが、僕らくらいの年齢の人物が二人登場する作品ってあまりないんです。書く人にとって面白くない年齢なんでしょうか(笑)。『ゴドー』はそういう意味でも汎用性があって貴重な戯曲でした。公演が終わった時、自然に時生と「また『ゴドー』をやろう」という話になりました。

時生 もう一度と言わず、これから何度でもやっていきたいものに出会ったという感触がありました。それで今回、2度目の上演となったわけです。

  同じ作品でも前回の公演とは演出が違うので、セットをはじめとしていろいろ相違点はあります。僕らもちょっとびっくりしたことなどもあるので、その辺は楽しみにしていただきたいですね。

時生 前回から2年経って、年齢が役柄と重なりました。お互い年を取ったなと思いましたね(笑)。

  このユニット以外で舞台では共演したことがないので、2年ぶりに一緒に芝居すると、変わらないところに気づきつつ、2年という月日が経ったことも感じます。

『ゴドーを待ちながら』は難解な不条理劇の傑作ともいわれますが、どんなところが魅力だと思われますか。

柄本 佑さん、柄本 時生さん

  ウラジミールとエストラゴンいう二人の男が、ただ暇をつぶしている話でしょう。そのどこに魅力があるのか……わからない。けれど面白いです。あえて言うなら「わからないけど面白い」と思えることが魅力なのかもしれません。

時生 「わからないから面白い」のかもしれません。多分ずっとわからないままやっていくんじゃないでしょうか。「わからないといけない」というのは違う気がしますしね。

  演じていても面白いですし、戯曲そのものも読み物として面白いんです。普遍的なものにはやはり意味があると思います。

時生 セリフが面白くて、兄ちゃんとふたりでセリフ合わせをしていると、あまりの面白さに笑ってしまうんです。ところが実際に稽古で立って口にしてみると、昨日は笑えたところが全然面白く思えなかったりする。そんな不思議さもあります。

  翻訳※3自体がとても面白いので、セリフの面白さはありますね。役については「ウラジミールは僕でないと」という強いこだわりはないので、エストラゴンを演じるのももちろんありです。時生も「エストラゴンって誰か知らない」と言ってますし(笑)。

時生 古典戯曲に臨むというのもとりたてて意識していないので、特に気負いもありません。そもそも『ゴドー』は古典という感じがしないです。むしろ延々と先を行っているような気がするほどです。

  そうですね、僕もそう感じます。そういうのを普遍的と言うのかもしれません。

時生 『ゴドー』の登場人物であるポッツォのセリフにあるんですよ、「何も言わぬがよろしい、確かに人口は増えた」って。本当に人口は増えているじゃないですか、今の時代も。作者のベケットは自分の生きている「現在」をそのまま書いただけかもしれないですが、それがずっとその通り今の時代まで続いている世の中って「すごいな、面白いな」と感じます。

テレビや映画とは違う、舞台ならではのお芝居の魅力とは、どのようなところだと思われますか。

  ライブ感ですね。人に見られながら演じるライブは恥ずかしいんです。

時生 舞台は、人に見られながら演じるのがどれだけ恥ずかしいかというのを知る機会を与えていただけるところです。「人に見られるっていうのは恥ずかしいことなんだぞ!」という、自分へのいましめとでもいいますか(笑)。

  「どうだお前、恥ずかしくなくなってないか!?」という確認作業(笑)。そんなことを言ってもいますが、本番が始まると千秋楽まではあっという間ですね。共通の目的を持つ人間が集まって1つのものを作るというのは、つらさや怖さも含め、舞台に限らず楽しいことじゃないかなと思います。

柄本 時生さん

観客の方へメッセージをお願いします。

時生 『ゴドーを待ちながら』をベースにもう少し現代っぽく書き直す脚本もあるんですが、僕らの『ゴドー』は一切いじっていません。それだけ翻訳がいいので、ベケットが書いた原作ならではのセリフの面白さも楽しんでいただけると思います。

  『ゴドーを待ちながら』は、僕ら「ET×2」にとって長く続けていける作品だと思っています。そして極端な話をすれば、「来月スケジュールが空いたから『ゴドー』やろう」といったような、特別なことではなく日常に組み込まれるようなものにしていきたいですね。まずは今回観ていただいて、そしてまた次の公演も観ていただければ、変わったことと変わっていないことを比較して楽しんでいただけることもあるかと思います。

※1 劇団東京乾電池制作を担当されている柄本佳子さん。

※2 劇団東京乾電池代表の柄本明さんは、佑さん、時生さん兄弟の実父。

※3 翻訳/安堂信也、高橋康也

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