ピアニスト 亀井聖矢さんにインタビュー
東京交響楽団ピアニスト 亀井聖矢さんにインタビュー
東京交響楽団昨年、栄誉ある国際的な賞、ロン=ティボー国際コンクールで第1位となった亀井聖矢さんは、クラシックのなかにある“熱量”を感じ取ってほしいと話しています。今回共演する東京交響楽団への想い、さらにはクラシックの魅力について詳しくうかがいます。
亀井聖矢(かめい まさや)
2019年、桐朋学園大学1年在学中に第88回日本音楽コンクールピアノ部門第1位、及び聴衆賞受賞。同年、第43回ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ。2022年11月にロン=ティボー国際コンクールにて第1位を受賞。併せて「聴衆賞」「評論家賞」の2つの特別賞を受賞。
©︎鈴木久美子
──演目をご紹介ください。
ショパン、ピアノコンチェルト第2番は、今回のステージが自身初めての演奏となります。ショパンらしい歌心あふれた旋律美や華やかなパッセージ、(ポーランドの舞踊)マズルカ風の民族的な楽想など、どこを取っても魅力にあふれた作品です。かねてからさまざまな素晴らしい演奏をたくさん聴いてきて、いつか自分も演奏したいと思っていた憧れの作品だったので、今回演奏できることがとても楽しみです。
──歴史ある東京交響楽団との共演となります。今回の公演に向けての意気込みをお聞かせください。
東京交響楽団の皆様とは、以前にも共演させていただいたことがあり、その重厚ながら甘美な音楽づくりに感動した思い出があります。素晴らしい楽団の皆様と、ショパンの大好きな作品を演奏できることが非常に楽しみです。繊細な糸を、オーケストラの皆様と共に一本一本紡いでいくように、演奏できたらと思います。
©︎鈴木久美子
──ロン=ティボー国際音楽コンクール(ピアノ部門)1位、おめでとうございます。今後の目標やピアノにかける想いをお聞かせください。
自分が何かの作品を聴いて心を動かされた感覚を、生の空間でお客様に共有し、その感動を同じように、いや、自分が感じたそれ以上に体験していただけるような演奏を続けていきたい。そう思っています。今後は日本国内のみならず海外の文化や空気にも触れ、もっと自分の心を養っていきたいと思います。
©︎鈴木久美子
──クラシックコンサートの魅力を教えてください。
クラシックには「格式高い」「眠くなる」というイメージを持たれている方も多いと思います。ですが、僕はクラシックの優雅な作品の中にも、ジャズのようなグルーブ感や、心の奥から突き動かされるような熱量や、音一つで全く違った世界に連れて行かれるような感覚など、さまざまな"熱く"なれる要素がたくさんあると思っています。それが静かなものであってもです。そして、同じ作品であっても、毎回同じ感覚を与えるとは限りません。同じ作品を、同じ人が演奏しても、同じ演奏というのは二度とない。そういった、その場限りの生の熱量こそが、一番の魅力だと思っています。
──初めての人がコンサートを楽しむためのコツは?
前の質問でも答えたように、クラシックにはたくさんの"熱い"瞬間があります。
自分の心がどこに反応するかは人によってもちろん違うし、その時の自分の状態によっても変わると思います。理論や難しいことは考えずに、「今のフレーズなんかいいな」とか「今気づいたら息止めて聴いてた!!」とか、そういった"心が動かされる瞬間"というのをたくさん感じながら、演奏を楽しんでいただけたらなと思っています。
──お客様へのメッセージをお願いします。
今回演奏するのが本当に素敵な作品なので、その作品そのものの良さを届けられるように、当日まで準備を重ねていきます。曲の素晴らしさに包まれながら、その世界に入り込んで一緒に皆様と共有する時間にできたらなと思います。幸せな時間に、僕も身を委ねます!ぜひお越しください!