振付家・演出家・ダンサー スズキ拓朗さんにインタビュー

CHAiroiPLIN おどる戯曲「FRIEND」

生の舞台で、何か一つだけでも持って帰ってほしい。

ダンスに音楽、オノマトペ、あらゆる表現を盛り込んだ舞台が話題のCHAiroiPLIN。1月にあうるすぽっとで上演される『FRIEND』の演出、振付を務めるスズキ拓朗さんは、何か一つだけ、光るものを持って帰ってもらえれば、と舞台への想いを語ります。 CHAiroiPLIN おどる戯曲「FRIEND」 公演情報はこちら


スズキ拓朗(すずきたくろう)

ダンサー振付家・演出家。1985年、新潟県出身。城西国際大学、国際文化学園の非常勤講師を務める。蜷川幸雄が学長を務めていた桐朋学園芸術短期大学を卒業。ダンスカンパニー「CHAiroiPLIN」(チャイロイプリン)主宰。コンテンポラリーダンスカンパニー「コンドルズ」にも所属している。紅白歌合戦などの有名番組に出演し、帝国劇場ミュージカルなどで振付・演出を務めるなど「CHAiroiPLIN」以外での活躍も多い。

フルキャストオーディションで一新、目指すは新しい化学反応。

──『FRIEND』はどのような作品ですか?

『FRIEND』はCHAiroiPLINが、「おどる戯曲」を初めてやった頃からある作品で作家の安部公房さんの戯曲をダンスにするという企画です。『友達』という作品を図書館で手にしたときに友達を大事にする作品なのかな、と思ったら全然違って、そのギャップが面白いので、お客さんも同じ感覚になってもらえたらな、と思って始めました。ダンス6割、芝居4割という感覚で当時の僕は作り始めたのですが、今はダンス5割、芝居5割になったのかなと思っています。安部公房の戯曲が好きだった僕の想いがすごい反映されていますね。2013年に初演したもので今回3度目の公演となるのですが、オーディションでダンサーさんと役者さんを募りました。僕たちで構築したものを今の現代の若い人たちが取り組んだらどういう風な化学反応が起きるのかなというのが1番の狙い。そして人と出会いたい、というのがあって発足した企画です。

ダンスを通して遠回りしながら、行間を描く。

──「おどる戯曲」とはどのようなものですか?

僕がいたのは演劇の学校(桐朋学園芸術短期大学)なので「行間を読め」と、ずっと蜷川幸雄先生から言われていたんです。けれど行間とはなんぞや、と。その分からない部分をダンスとして立体的にしてゆこうというのが僕の考え方、CHAiroiPLINの考え方なんです。もっとざっくり言うとムダなシーン、ムダな身体をどんどん作ろう、遠回りをしようというのが、稽古でもいつもやっていることですね。見ていただくと「おまけ」が多いと感じていただけるかも。僕は昔から駄菓子屋さんのお菓子の、おまけの部分が好きなんですよね。お菓子じゃなくておまけを楽しめる。そこが「おどる戯曲」の魅力なんじゃないかと。原作には書かれてないものをお客さんに見てもらえたらなと思っています。

──既存の名作とダンスが合わさり新しいエンタメに昇華されているということですね。

優れた文学をやはりお客様に届けたいって言うのがまずあります。そしてもう一つはやっぱり楽しめないとやだなぁと思っています。なのでエンターテイメント性もすごく大事にしていますね。躍動感とか、その場で役者さんダンサーさんが、こう一生懸命汗を流して動いてるだとか、何かを伝えようとしているということを見せたいですね。

音楽・ダンス・演劇を通して伝えるカンパニー。

──CHAiroiPLINはどういう経緯でできたカンパニーなのでしょうか?

CHAiroiPLINは僕の学生時代、2007年にできました。桐朋学園の桐朋祭というお祭りでダンスをやろうということになりまして、今のメンバーの一番古株の清水ゆりさんと始めたのが最初です。カンパニー名をどうしようどうしようみたいになったとき、桐朋学園の音大の方の自動販売機に茶色いプリンが売ってたんですよ。僕はチャップリンが好きだったので、これで良いじゃんとなって、今も引きずっちゃってますね。ずっと変更しようって言っているんですけど今だにCHAiroiPLINは続いています。音楽とダンスと演劇をやってゆこうというのが始まりで、チャップリンが好きなので、無声映画というか社会風刺をおかしくみんなに伝えてゆこうということもベースにはあリます。

見てほしいのは役者の顔、そして生の舞台だからこその緊張感。

──公演を楽しむコツを教えてください?

来る前に『友達』のあらすじをパーッと見てきてもらうと良いと思います。またCHAiroiPLINで、見てもらいたいのはやっぱり役者さんがどういう顔しているかとか、なんかこうビックリするとか、笑ったり、エッて思ったり……ということを楽しんでもらいたいですね。それで、その感性でできた積み木が、時間が経つと積み上がっていく。それで観終わった後にもお客さんの中に残るものがあると思うんですよね。何か一つだけ、光るものをお土産に持って帰ってもらえればな、と。そんな気ラクな形で見てもらうのが一番良いと思います。力を抜いて、映画を見るような形で見てもらえればいいですね。

──生の演劇、ダンスだからこそ感じられるものがあるということですね

生の舞台だからこその魅力がありますね。役者、ダンサーが、その一瞬にかけている真剣な眼差しなどをその目で感じられる。どういう汗をかいてるのかとか、今日はどういうコンディションで舞台に立ってるとか。誰かにフラれて舞台に立ってるのかもしれないし、好きな人が来ているから張り切っちゃっているかもしれない。そんな風に舞台はその日その日で違うので、緊張感を感じていただきたいですね。

都民の人と作る舞台、驚きも涙も笑いも共有したいです。

──最後に、お客様へメッセージをお願いします。

見に来てくれるお客様へ、僕からメッセージを届けたいと思います。都民芸術フェスティバル、まさに都民の人とのフェスティバルということで、やはり皆様と舞台を作りたいです。なので、ぜひ足を運んで頂いて、ビックリしたり泣いたり笑ったりしていただきたい。やっぱりお化け屋敷で人をビックリさせるお化けがいるのに、誰もいなかったら意味が無いじゃないですか。なので皆様も、僕らと一緒に怖がったり泣いたり笑ったりしてくれるとうれしいので、楽しみに劇場に足を運んで下さい。

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