新内節 岡本流 岡本宮之助さんにインタビュー

第51回 邦楽演奏会

邦楽のかっこよさを伝えたい! 子どもでも楽しめる新内節を上演。

観てくれるお客様に「邦楽はかっこいい」と思ってもらいたい。そう話す、岡本宮之助さん。第51回邦楽演奏会は三部構成で、岡本さんが登場される第一部では子どもも楽しめる内容となっているそうです。浄瑠璃の流派のひとつである「新内節」の魅力、初心者が楽しむためのコツを丁寧に解説いただきました。 第51回 邦楽演奏会 公演情報はこちら


岡本 宮之助(おかもとみやのすけ)

「新内節」、岡本流後継者として大叔父である岡本文弥、五世岡本宮染に師事。岡本流以外では演奏不可能になった多くの浄瑠璃を正しく継承している。「演奏しなければ無いも同然」をモットーに、ごまかしの無い演奏と保存に尽力しながらも新曲創作にも積極的に取り組む。創作依頼を受けることも多く、その作品たちはいずれも評価が高い。演奏会、舞踊会など出演しながら新内節の魅力を広めている。

江戸時代から今に引き継いでいる浄瑠璃「新内節」。

──新内節とはどのようなものか教えてください。

歴史についてザックリした話をしますと、まず浄瑠璃の流派として一中節というのがあります。一中節のところにいた「都半中」という人が、一中節では気持ちが満足できないことから江戸に出て「都路豊後掾(みやこじぶんごのじょう)」という名前になり豊後節というものを始めます。しかし豊後節は扇情的だとか、いろんな事情があり禁止になってしまう。すると困った弟子達がそれぞれにジャンルを作る。その中の一人が「富士松」と名乗り、そこから「鶴賀若狭掾(つるがわかさのじょう)」という人が出てきます。そこの門弟にいたのが「鶴賀新内(つるがしんない)」。その名前を取ってできたものが「新内節」です。

──豊後節などそれまであった浄瑠璃の流れを汲んだものなのでしょうか?

汲んでいると思います。大正の末期くらいに私の師匠の岡本文弥という人が初めて舞踊のための新内節というのを作ったのですが、それまでは伴奏音楽としては活きてこなかった。新内節はほとんど元の形のままで、今にずっと伝わっている音楽だと言えますね。

──新内節の見どころはどんなところにあるでしょう?

古典も新作も新内節はいわゆる浄瑠璃。物語になっているんですね。そこに節と三味線がついて話を進めてゆくのですが、いい話が結構あるんです。邦楽の聴き方っていくつかあると思うんですね。外国の音楽の聴き方と一緒で、歌詞なんか分からなくたって三味線の良い音、良い声などその雰囲気を楽しむ見方というのも当然あリます。ただ、新内節はやはり物語なので歌詞がわかるとより面白い。歌詞が良かったり、物語が良かったり、表現が良かったり、そういうところまで目を向けるようになると、もう一歩踏めこめるかなと思います。

ほかのジャンルとの合奏するという面白さ。

──第一部では『泣いた赤鬼』を上演されます。どんな作品ですか?

浜田廣介先生の『泣いた赤鬼』が原作になっています。当初は(作詞を担当している噺家の林家正雀師匠と)二人でやったり、せいぜい上調子が入ってやっていたんですが、ある時期から合奏でやるようになって場合によっては正雀師匠抜きでやるということもありました。いろんなジャンルの人が寄り集まってくるということが面白い。新内の場合はもともと尺八やお琴の人達とは競演するジャンルではないので、合奏できるという面白さはありますね。

──アンサンブルが楽しめるのも芸術フェスティバルならではのことですね。

子どものための企画なのですが、自分たちの普段やらないスタイルができるというのが魅力です。今までやっていた邦楽を今後、より多くの人に聴いていただくための可能性も持つ、そんな発表の場がいただけたことはすごく良かったですね。

邦楽はかっこいいもの、実際に自分の目で観て体感してほしい。

──初めて観る人が楽しむコツを教えてください。

楽しみ方の一つとして、歌詞を音楽と一緒に聴くというのはあると思います。ただ目の前で演奏をしているので、たとえば、尺八を吹いている、お琴を弾いている、それから三味線を弾いている、そういうものを観る楽しさというものがありますね。なので音ばかりじゃなくて舞台をちゃんと「観に」来ていただきたいなって思います。それを観たお子さんが仕事として邦楽をやっていこうと思ってくれたら良いな。それには何が一番大事かと言うと、やっぱりかっこいいことがすごく大事だと思うんですね。邦楽は見ている方、聴いている方、それからお子さんがかっこいい、これをやってみたいと思っていただけるような演奏にしたいなと思っております。それを感じていただければいいなぁ。かっこいいんだよ、邦楽って感じですね。

当代きっての演奏家たちが勢ぞろい、大人も子どもも楽しめる舞台。

──お客様へ、メッセージをお願いします。

子どものための演奏会という風な形になっていますが、内容はきちんと大人の方でも楽しめるレベルも保っている演奏会です。一流の演奏に接していただける機会がこの会の一番良いところです。ぜひぜひお子さんとお父さん、お母さん一緒にいらしてください。邦楽の演奏会として、これだけ当代一流の演奏家をいっぺんに見られる、聴ける演奏会はほかにはございません。演奏家が、それから事務局の方がそのために、知恵を一年間一生懸命絞って必死に作っている演奏会ですので皆様ぜひおいでいただいて、邦楽のかっこよさ、邦楽の素晴らしいところ、音楽の良いところをご覧いただければと思います。ぜひぜひおいでください、よろしくお願い致します。

2022都民芸術フェスティバル公演情報

都民芸術フェスティバル アンケート 都民寄席アンケート 民俗芸能アンケート
お問合せ
ページの先頭へ